皆さんこんにちは。
甘霧庵でございます。
さて、皆さんは女子に誘われたことはありますか。
もちろん、美人局ではありません。
自慢ではありませんが、
私はあります。
それも、片思いの彼女にです。
当時は、美人局なんてなものがあるとは知りませんでした。
ですから、なんの疑いもなく彼女について行きました。
彼女の家は大和二見駅から歩いて数分のところでした。
歩きながらも彼女はガンガン話しかけてきます。
彼女の話を聞きながら私の頭の中は他人のお宅でのお作法を考えておりました。
彼女にいい印象を与えなければなりません。
そのためには母上様に気に入られなければなりません。
不作法な奴と思われた瞬間にこのいつ終わるともしれない細い恋は消えてしまいます。
今は、なんとしてでも千載一遇のチャンスをモノにしなければなりません。
他人のお宅に招かれたことなどなかったので、
お作法を教えられたことなどありません。
しかし、なんとなく噂で聞いたことはあります。
それを思い出しながら、何度も頭の中でリハーサルを繰り返しておりました。
もちろん、彼女のマシンガントークに返事を忘れてはいません。
さぁ、もうすぐ本番の幕が上がります。
準備は万端です。
リハーサルは完璧です。
続く。