甘霧庵

ハインリヒ・シュッツ その28 「マタイ受難曲」6曲目「大祭司とピラトの審問」その2

皆さんこんにちは。

甘霧庵でございます。

さて、大祭司カヤパの審問を受けているイエス・キリスト様。

何とか不利な証言を引き出そうとしますが、証言は一致しません。

大祭司カヤパも周りの取り巻きもはイライラを募らせます。

そしてイエス・キリスト様が「あなたの言うとおりである。

しかし、わたしは言っておく。

あなたがたは、間もなく、

人の子が力ある者の右に座し、

天の雲に乗って来るのを見るであろう」。

と発言されます。

これが渡りに船です。

当時のユダヤ教で一番守らなければならない教えがモーセの十戒です。

その3番目の教えが「神の名をみだりに唱えてはならないこと」です。

この教えの趣旨は信じている神様を馬鹿にしてはいけませんよ。

って感じです。

しかし、それを曲解して神様の名前自体を言ってはいけない。

自分と神様とを同じになってはいけない。

比べてもダメ。

しかもモーセの十戒を全員守ることができれば救い主があらわれ、

今の苦しみから解放してくれると信じておりました。

この発言は当時のユダヤでは死刑にすることもできます。

そして、大祭司カヤパは大絶叫します。

「彼は神を汚した。どうしてこれ以上、証人の必要があろう。あなたがたは今このけがし言を聞いた。

あなたがたの意見はどうか」。

続く。

画像

ホセ・デ・リベーラ作『モーセ』(1638年):十戒が書かれた石板を持つモーセが描かれている。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Moses041.jpg#/media/ファイル:Moses041.jpg

 

 

 


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