皆さんこんにちは。
甘霧庵でございます。
さて、私の中で国文学者といえば金田一春彦先生です。
春彦先生は1913年4月3日、東京市本郷区森川町1番地(現在の東京都文京区本郷六丁目10番)でお生まれになります。
東京市本郷区森川町1番地といえば、前にも御紹介しました「蓋平館」があったところです。
父上様はおなじみ金田一京助先生です。
母上様は静江さん(旧姓・林)です。
当時、金田一京助先生は三省堂で働いていたのですが、
なんと三省堂が倒産してしまい無職で無収入でしたので一家は経済的にどん底の状態にあったそうです。
しかも、京助先生の後輩石川啄木先生が、
新婚時代の金田一家に押しかけては静江さんの着物などを勝手に質に入れていたようです。
そのことを母上様から繰り返し聞かされて育った春彦は、
「石川五右衛門は石川啄木の兄貴か何かであるように思った」とおっしゃっております。
さらに、この年に京助先生は学生時代からのアイヌ語研究のために北海道からワカルパという盲目の老人を招いて家に住まわせておりました。
京助先生は酒好きのワカルパのために自分達は白飯に塩を振っただけとか味噌だけとかで耐えていたそうです。
しかも、ワカルパさんが北海道に帰るときは自前の本を売って旅費を作ったそうです。
続く。