甘霧庵

ハインリヒ・シュッツ その48 「マタイ受難曲」8曲目「十字架」その9

皆さんこんにちは。

甘霧庵でございます。

さて、聖書によりますと

午前9時十字架に磔にされたイエス・キリスト様は

午後3時にお亡くなりになりました。

お亡くなりになる瞬間に

ヘブル語で

「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と大声で叫ばれました。

この叫びには二つの意味があって、

一つは旧約聖書の予言が当たった(当たったは軽すぎます。成就したと言いましょうか)ことと

二つ目はこの十字架の出来事が今後子々孫々の代まで、全世界に伝えられるということ。

この二つの意味がありました。

マタイ受難曲ではこの部分は超ハイライトです。

このセリフにどうメロディーをつけるかが作曲家の腕が試されます。

シュッツのメロディーはそれまでの静寂をぶち破るような大音量で大威厳を持って歌い上げます。

シュッツのマタイ受難曲は結構地味な曲で、

なかなかクラシックファンでない限り聞くことはないと思いますが、

この部分だけでも聞いていただきたい感じです。

しかも、この部分に向かうまでの福音史家の歌い方も大変で、

自分が目立ちすぎてもダメ、

だからと言ってあっさりしてしまうとこの後のハイライトがダメになってしまう。

その辺の匙加減も腕のうちでしょう。

どちらにしても演奏家は超一流にしかできない音楽です。

画像

Giraudon/Art Resource, NY, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=268344による

 


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