甘霧庵

風に吹かれてアンデスへ #103 最悪の事態となりました。想定外とはこの事です。

皆さんこんにちは。

甘霧庵でございます。

さて、シミュレーションも終わり、作戦決行です。

フッと息を整えて、丹田に力を入れます。

まず、何事も無かったかのように手を挙げてウェイトレスさんを呼びます。

もちろんその頃には鼻のまわりには一滴の血痕を残していないつもりでした。

当然ナプキンを鼻に当てていてはいけません。

垂れ落ちる鼻血を啜りながらも

「La cuenta por favor(お会計お願いします。)」

しかし、溢れ出る鼻血を啜りながらスペイン語を話すのは困難至極でした。

一瞬鼻血が顔を覗かせました。

その瞬間、

ウェイトレスが

「una hemorragia nasal(鼻血出てるわよ)」

と大きな声でぬかしてしまいました。

その途端、

店中のお客がやんややんやと押しかけてきました。

あるものは後頭部を叩き、

あるものは硬い紙を出し、

あるものは捲し立てる。

もう、最悪です。

「bien. No hay problema.(問題ありません)」

を連発するも騒ぎは増すばかり、

とうとう、店長らしき人があらわれどこかに電話をしようとしています。

これは救急車ではないでしょうか。

気づいた時にはもう時すでに遅し。

私は鼻血ごときで救急車を呼んでしまいました。

続く。

 

 


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