甘霧庵

我が故郷 五条市 その85 悲壮感漂うとはこのことです。 慮ってあげましょう。

皆さんこんにちは。

甘霧庵でございます。

さて、いよいよ緊張の瞬間がやってまいりました。

私の受験ではありませんが、

この半年、共に戦ってきた戦友の人生がかかっております。

ま、滑り止めの高校ですので、

そこまで人生がかかっているわけでもないのですが。

私はそこまで緊張していませんので、

どんどん合格発表の掲示板に進みますが、

当の本人は緊張でうまく歩けない感じ、

あれだけ運動神経が良くて陽キャな彼女であっても

極度の緊張の状態では歩くのもおかしくなるのですね。

ちょっと進み過ぎた私を彼女は弱々しい声で呼び止め

とんでもないことを言ってきました。

「受験票貸すから、結果見てきて。」

なんてことを言いやがったのでしょう。

しかし、彼女の悲壮感漂う顔を見ると

なんでもしてあげたくなるもんです。

私は快くは承諾しませんでしたが、

緊張で震える彼女の手から受験票を受け取り

受験番号を確認して

いざ、掲示板に向かいます。

ところが、向かおうをしたところ

彼女が私の腕をグッと掴み、

さらに悲壮感を漂わせた顔をこちらに向けて、

「ダメでも、正直に言って。」

当たり前じゃん。と思いながら、

進もうとしたら

また腕を掴まれます。

もう、泣きそうな顔をしていました。

では、行ってきます。

続く。


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