皆さんこんにちは。
甘霧庵でございます。
さて、長らくシュッツのマタイ受難曲をご紹介してまいりましたが、
今回でついに終曲に辿り着きました。
マタイ受難曲はイエス・キリスト様がエルサレムにお越しになって、
過越の食事会をされて、
ゲッセマネでお祈りになって、
逮捕されて、
不当な裁判で有罪になって、
拷問を受けて、
十字架に磔になって、
お亡くなりになる。
ここまでが受難曲の内容です。
つまりとても暗い内容で曲が終わってしまうわけです。
これだとミサが終わったあとどんよりとした気分で帰途についてしまいます。
そこで、シュッツはありったけの創造力を駆使して、
明るくこの曲を締めております。
ただし、明るいと言っても派手という意味ではありません。
ミサで演奏される曲ですので、
決して下品にならず、
祈りの要素もあり、
しかもシュッツの意欲も感じられます。
この曲の歌手は無伴奏で一人で歌います。
その場面場面での感情を出しておりますが、
ともすると一本調子になりがちで、
素人にとっては退屈な感じになります。
終曲は素人でも十分楽しめる曲で、
ついに、宗教曲が芸術の領域に入っていった瞬間とも考えられます。
マタイ受難曲といえばバッハの曲が有名ですが、
シュッツのマタイ受難曲も良いもんですよ。
画像
August John – http://www.portraitindex.de/documents/obj/33207971, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=184071による