皆さんこんにちは。
甘霧庵でございます。
さて、受験の朝。
私の生涯で1、2を争う清々しくない朝。
私はいつの間にやら乗りなれた彼女の母親の車で受験会場に向かうことになりました。
都会の受験では受験生が親の車でおくることは稀かもしれませんが、
田舎では交通機関があまり発達していないので、
親が受験生を受験会場までおくることはよくあることです。
そして、車を出せない家庭は近所に頼んで車を出してもらったりもします。
それでも無理な場合は自力で電車とバスを乗り継いで行くか、
中学校がマイクロバスをチャーターしてくれてそれに乗って受験会場に行く生徒もいました。
閑話休題
私と彼女を乗せた車は順調に受験会場に向かって走りはじめていました。
その車内では彼女と私は一問一答をしておりました。
もちろん問題を出すのは私です。
私は彼女を不安にさせないためにできるだけ易しい問題を選んで出題しておりましたが、
彼女は3問に1問は間違っているか答えられないか。
そのうち彼女の顔から血の気が引いていくのがはっきり分かりました。
そして、彼女の目から一筋の涙が。
今だったら気の利いた慰めの言葉の一つもかけてあげられるのですが、
当時の私は陰キャ中の陰キャでしたのでどうしていいかオロオロするだけでした。