皆さんこんにちは。
甘霧庵でございます。
さて、彼女の愚痴大会をひたすら耐えること数時間。
体感的には数年のようにも思えました。
しかし、その終焉はいきなりやってきました。
彼女がボソッと
「もう疲れたから寝る。」
お、何ということでしょうか。
このサウンドは何よりも美しいサウンドです。
高原の鳥の音も
パリの教会の鐘の音も
モーツアルトのどんな交響曲も
この美しいサウンドには敵いません。
その美しいサウンドを残して彼女はバイバイも言わずにさっさと2階に消えて行きました。
その後ろ姿を見送ると
彼女の母親は私をカウンターに呼び寄せて
「ごめんね。一緒にいてくれてありがとうね。」
と言い私と私の母のためにタクシーを呼んでくれました。
この時点で時刻は夜の9時前
私も一気に緊張の糸が切れ
ぐったりと椅子に身を沈めました。
私と私の母と彼女の母はほとんど話すことなく
沈黙が続きます。
しかし、嫌な沈黙ではありません。
この沈黙は明日への希望の沈黙です。
やっと帰れるという希望の沈黙です。
やがて徐にドアが開きタクシーの運転手らしきものが顔を覗きました。
しかし、この人はタクシーの運転手ではありませんでした。
どうやら近所の常連のおじさんだったみたいです。
このおじさんが余計なことをします。